CabinetⅢ 【第Ⅲ室】〜Works of Art 美術工芸品
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Works of Art〜美術工芸品図録20

Neo-Renaissance Baroque Pearl /Gold Swan Figure
ネオルネサンスバロック真珠/ゴールド白鳥フィギュア


c1870 Continental
1870年頃 ヨーロッパ(英国を含まない)
刻印なし 長さ:3.8cm
真珠 ルビー ダイヤモンド ゴールド
 
ヨーロッパの芸術分野において調和や均整を目指すルネサンスの後に来るバロック様式は、ポルトガル語の「バロッコ=歪んだ真珠」を語源とし流動的で過剰な装飾性が特徴である。円熟したルネサンスがバロックへ向かう16世紀後期、バロック真珠の歪みを神話の人物や動物に見立てて宝石、エナメル、金細工で装飾を施したグロテスクな宝飾品が流行する。
 
3cm以上もある巨大な天然バロック真珠に金細工を施した白鳥のフィギュアである。自然が生んだ唯一無二の造形である歪な真珠に誂えた彫金は、白鳥の毛並みや水掻き、水生植物のひとつひとつの葉脈に職人の丹精が感じられる一点ものである。ダイヤモンドをちりばめた動きのある水草の形状にアールヌーヴォーの息吹を感じる、見事な19世紀のルネサンスリバイバル作品である。
 
自然と人間の手仕事が融合した究極の工芸品、宝物と呼ぶにふさわしいバロック真珠を使ったフィギュアの多くは欧米やロシアの美術館に収蔵されており、小振りなジュエリー作品と比べると圧倒的に入手困難である。