Works of Art〜美術工芸品図録28
North Italian Wood Micro-Carving Miniature
北イタリアマイクロ彫刻画「鳩と蝶、葡萄の木」
Early 19thC North Italy
19世紀初頭 北イタリア
イメージサイズ:直径 4.7cm 額:直径 7.3cm
サインなし 木 ヴェルヴェット ガラス
直径5cm足らずの黒いヴェルヴェットの背景に、葡萄の木に集う小鳩と蝶を精緻な木彫で表した彫刻画である。彫刻は半立体のレリーフ(浮き彫り)ではなくほぼ立体に仕上げた見事な手技である。額裏には題名または作者名の判読困難なイタリア語?と1801年?の書き付けがある。
木彫マイクロ彫刻技法における至高の彫刻家イタリア トリノのジュゼッペ・マリア・ボンザニーゴ(Giuseppe Maria Bonzanigo 1744-1820)は、18世紀後半から19世紀にかけて家具の装飾や彫刻肖像画で他の追随を許さぬ素晴らしい細密彫刻作品を世に送り出した。弟子の育成にも尽力したとされるが、この作品が彼の工房に由来するかは分からない。少なくともボンザニーゴ作品に影響された同時代の職人が制作したことは間違いない。
キリスト教において象徴的意味をもつ鳩(=聖霊)、蝶(=復活)、葡萄(=キリストの血つまりキリスト自身)のモチーフは、この作品がイエス・キリスト復活の暗喩であると読み解くこともできる。細工の見事さと同時に奥深い味わいのある作品である。