Frog on Peach Antler KOGO (Incense Container)
「桃に蛙」鹿角香合
Mid 19thC Japan
19世紀中期 幕末明治 日本
刻銘:雪 長さ:5.7cm
伽羅や白檀といった貴重で高価な香木を納める香合は、蓋がぴたりと閉じる丁寧なつくりの小さな蓋物で、贅を極めた細工が多い。長寿を表し縁起が良いとされる吉祥文のひとつ桃の実の表面に蛙が張りつく意匠の鹿角彫刻の香合である。手彫りの技はもちろん、鹿角の斑が桃の実と葉の虫喰いやシミのリアルな質感を表し、長い時間手で触れて色づいた飴色のツヤが一層の味わいを感じさせる。
Tortoiseshell Tabatière (Snuff Box) Inset with 7 Tusk Micro-Carving Miniatures
獣牙マイクロ彫刻画7枚入りべっ甲タバティエール(嗅ぎ煙草入れ)
c1780 France
1780年頃 フランス
刻印なし 直径:7.5cm
べっ甲 獣牙 ゴールド ガラス
7枚のマイクロ彫刻画を嵌め込んだ特別なべっ甲製タバティエールである。マイクロ彫刻画は、マイクロ技法とよばれる百分の数ミリで彫刻した牙レリーフであり、王侯貴族の注文により主にドイツ系の彫刻家がブリュッセルやイギリスに渡り製作したが、この作品はフランス製と思われる。
中央の井戸(願掛け井戸?水や泉は命を表す)の彫刻画を、"L"の飾り文字や太陽や塔などの象徴的意匠が取り囲んでいる。知的遊戯として寓意を解読できる相手に贈ったラブトークン(愛のしるし)と思われる。
Lacquer Tabatière (Snuff Box) Inset with Repouseé Love Scene
ルプセ金色愛のモチーフ入りラッカータバティエール(嗅ぎ煙草入れ)
c1800 France
1800年頃 フランス
刻印なし 直径:5.2cm
べっ甲 木 ゴールド 金色金属(おそらくゴールド) ガラス
おもては黒ラッカー(擬似漆)、内側はべっ甲の円形タバティエール。厚手のラッカー層に生じたマット(ツヤ消し)な質感の細かな貫入が独特な渋い味わい、対して繊細な金色モチーフから透かされる薔薇色のガラス板またはガラスの粉を塗った中央のメダイヨンは優美な雰囲気である。ルプセ技法(打ち出し)で表された薄い金属の、台座の上のふたつの燃えるハートとリボンで結ばれた花束、2羽の鳩とクピドの矢筒は愛の勝利を象徴している。フランス革命を経て華麗なロココからナポレオン帝政アンピールへ美術様式が転換していく時代の作品。ラッカーに修復あり。
Tusk Round Box Inset with Wedgwood Jasper Plaque
ウェッジウッドジャスパー陶板入り獣牙円形ボックス
1895年頃 オーストリア
刻印:アルテミス(純度950)、K.K(工房印)
直径:7.7cm 高さ:3.9cm
獣牙 石器(ストーンウェア) 鍍金された銀 模造宝石(ペースト)
Keller & Reinerのオリジナルケース入り
ペガサスをいたわる三美神を主題としたウェッジウッド窯によるペールブルーの「ジャスパー」陶板。これを英国から取り寄せたオーストリアで銀細工を施した牙製円形ボックスである。鍍金された銀装飾はアールヌーヴォー期に好まれたヤドリギの意匠で、ポイントに赤いペーストを嵌めている。当時この作品を販売したベルリンの美術商Keller & Reinerのオリジナルケース入り。ケース蓋内に"Keller & Reiner Kunsthandlung Berlin.W"の押印が有る。
Vernis Martin Painted Ivory Tabatière (Snuff Box)
ヴェルニ・マルタン手描き獣牙タバティエール(嗅ぎ煙草入れ)
Late 19thC France
19世紀後期 フランス
サインなし 8.4 x 6.3 x 1.4cm 獣牙
ルイ15世時代、東洋からもたらされた漆器を模倣してマルタン家が発明した擬似漆、ヴェルニ・マルタン技法によって箱表面全体にロココ様式の細密画を描いた、19世紀フランスの獣牙製の嗅ぎ煙草入れである。箱内側は何も描かれず天然の白いままである。市民革命によってロココや新古典主義といった正統的様式が一時中断していた19世紀後半のフランスでは、生活空間である装飾美術の分野で、ロココ様式を盛んに取り入れるようになる。富裕層である貴族やブルジョワ市民はルイ15世から16世時代の宮廷文化に憧れ、ロココ・リバイバルの作品が数多く作られた。
過去の作品
LouisXV Vernis Martin Tortoiseshell Tabatière (Snuff Box) Inset with Miniature
ルイ15世時代細密画入りヴェルニ・マルタンべっ甲タバティエール(嗅ぎ煙草入れ)
c1770 France
1770年頃 フランス
刻印なし 直径:6.0cm べっ甲 ゴールド ガラスほか
ルイ15世時代、東洋からもたらされた漆器を模倣してマルタン家が発明した擬似漆、ヴェルニ・マルタン技法によってアップルグリーンに金色のドットで箱全体が仕上げられている。箱蓋中央のゴールドで縁取られた細密画は薔薇色の背景に白鳩2羽と松明、クピドの矢筒と香炉が描かれ、愛の勝利を象徴している。ふんわりとした優しい配色は正統なロココ作品の趣である。手描きされた細密画の支持体の素材は不明。
*SOLD*