Jewellery〜宝飾品図録29
Camille Gueyton Art Nouveau Pearl Gold Ring
カミーユ・ゲトン作アールヌーヴォーパール/ゴールドリング
c1903 Paris France
1903年頃 パリ フランス
刻印:フクロウ(18金) ベゼル:2.7cm リングサイズ #13
真珠 イエローゴールド
高山植物エーデルワイスはその形状から「アルプスの星」と謳われ、純白の花は穢れなき純粋さの象徴とされる。19世紀のヨーロッパでは崖の上で人知れず咲くその花を恋人に贈ることが流行したため危険を冒して山に登り命を落とす者が現れるなど、エーデルワイスは益々手の届かない神秘の花として賛美された。
透かし細工によるゴールドのエーデルワイスと白い真珠の組み合わせが清らかな印象のリングは、フランス宝飾作家カミーユ・ゲトン(Camille Gueyton)の作品である。銀製品と宝飾品で有名なアレクサンドル(Alexsandre Gueyton 1818-1862)のメゾンを引き継いだ息子カミーユは、エナメルと彫金を駆使した植物モチーフのジュエリーに定評がありパリのグラン・パレで行われるサロンに出品し名を馳せた。アールヌーヴォー曲線が優美なゴールドのエーデルワイスはアルプスの花の代わりに恋人の心を射止めたろうか。縦長の繊細な金細工とパールのリングは和装にも向く。
*Alastair Duncan著 "The Paris Salons 1895-1914 Jewellery Vol.Ⅰ" Antique Collectors' Club p.302に類似作品の掲載(画像)