CabinetⅣ 【第Ⅳ室】〜Jewellery 宝飾品
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Jewellery〜宝飾品図録39

Neo-Renaissance Enamel Pearl Peacock Brooch
ネオルネサンスエナメルパール孔雀ブローチ


c1870 Austria or France
1870年頃 オーストリアまたはフランス
刻印:フクロウ(18金)、AV(オーストリア輸入印)
全体の長さ:6.2cm バーの長さ:5.3cm
ゴールド 真珠
 
ヨーロッパの芸術分野において調和や均整を目指すルネサンスの後に来るバロック様式は、ポルトガル語の「バロッコ=歪んだ真珠」を語源とし流動的で過剰な装飾性が特徴である。円熟したルネサンスがバロックへ向かう16世紀後期、バロック真珠の歪みを神話の人物や動物に見立てて宝石、エナメル、金細工で装飾を施したグロテスクな宝飾品が流行する。
 
19世紀に新古典主義の影響から再び流行したルネサンスリバイバルの孔雀ブローチである。真珠の体にエナメルの羽根をもつ彫金ゴールドの孔雀は、自立する完全な立体像で職人の丹精を感じるミニチュアフィギュアである。ブローチバーの真ん中と花の先端に嵌めた、捩れた繭のような不完全な双子真珠の唯一無二の造形は非常にバロック的で心惹かれる。ネオルネサンスジュエリーが盛んなオーストリア=ハンガリー作品と思われるが、その多くは銀製または鍍金であり上等なゴールド作品は珍しい。ネックレスではなくバーブローチ仕様のため、ジャケット下襟(ラペル)などに着用でき男性にもおすすめである。
 
*画像に使用しているケースは付属しません