Miscellaneous〜その他の作品図録02
Silver-Gilt Pocket Fan /Silver Pocket Mirror & Comb
銀製携帯用扇子/鍍金銀製携帯用ミラーとコーム
1911 Birmingham England / c1925 Vienna Austria
(扇子)1911年 バーミンガム イギリス
刻印:純度950、1911年、バーミンガムを表す英国刻印、A.J.S(工房印)、RD565174
長さ:10.0cm 銀 セルロイド シルク
(ミラーとコーム)1925年頃 ウィーン オーストリア
刻印:オオハシの頭(純度900)、工房印
7.2 x 4.5cm/ 9.3 x 2.2cm 銀 べっ甲
フランス人クチュリエ、ポール・ポワレ(1879-1944)によるハイウエストのドレス "Lola Montez(ローラ・モンテス)”の発表(1906年)は、女性をコルセットの締め付けから解放してファッション業界に革命を起こし、上流階級の女性はゆったりとした活動的なデイドレスを着用するようになる。
銀の親骨に象牙を模したセルロイド板を重ねた、珍しいコンパクトサイズの扇子である。18世紀以降貴婦人が手に携える扇子は、涼を得るためではなく作法や社交上必要な小道具であり、贅を尽くした工芸品として見せつけるためのファッション小物でもあった。この扇子はハンドバッグに収納できるサイズで、軽快さを求める当時のファッションの最先端の品であった。
第一次世界大戦時(1914-18)、戦地へ赴いた男性たちに代わって働くことで社会進出を果たした女性のファッションは、ココ・シャネル(1883-1971)の登場で一挙に活動的になる。アール・デコ期のモダンガールは、趣向を凝らした化粧用コンパクトやヴァニティケースを携帯し、人前で化粧直しをすることをファッションとしていた。銀製のミラーとコームは、規則的なギョーシェ模様と流麗なグラヴュール模様の対比が美しい逸品である。銀のケースに収まるミラーはガラスではなく研磨し鍍金した銀板、コームはべっ甲である。中央パネルには元所有者の名Irisと刻まれている。
*ミラーとコームはセット売りです
*扇子は単品売りです