Paintings〜絵画図録07
Silk Embroidered Picture "Saint Barbara"
シルク刺繍画「聖女バルバラ」
Late18thC France
18世紀後期 フランス
署名なし オリジナル黒塗木製額
イメージサイズ：26.8 x 19.3cm 額：36.5 x 29.0cm
額装したシルク刺繍画は18世紀後期から19世紀初頭にかけて流行し、当時の人気版画などを写した主題の制作キットが手芸店で販売された。宗教的主題の作品は比較的古く、フランスで制作されたものが多い。
様々な色や太さの糸を使い、シェニール刺繍などの様々なステッチ（部分的に手描き）で聖女バルバラを描いた刺繍画である。聖バルバラは、三位一体を示す三つの窓がある塔を持物（アトリビュート）とすることが多いが、この作品は聖体（ホスチア）の容器を手にした天使が彼女の側に描かれている。塔に幽閉されていた彼女に天使が聖体を運んだと云われ、彼女は聖体拝領によって祝福される死の守護聖人となっている。
良い風合いに退色した天然染料が２世紀という時間の経過を物語る。当時絵の具では表現できない神々しい効果を生み出そうと、光沢のあるテキスタイル素材を使って作られた刺繍画の聖女は、金銀糸や絹糸の退色前の豪華絢爛な姿を想像する愉しみがある。
