CabinetⅡ【第Ⅱ室】〜Paintings 絵画
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Paintings〜絵画図録21

Grisaille-Painted Miniature of Angel in Mourning
Portrait Miniature of a Young Boy in the Sky
グリザイユ「追悼の天使」ミニアチュール/空に浮かぶ少年 肖像ミニアチュール


1832 / Middle 19thC France
(天使)1832年 フランス
署名:DB 12 Mai 32 牙板に顔料 オリジナル金色合金額 
イメージサイズ:直径 4.6cm 額:7.5 x 5.8cm
(少年)19世紀中期 フランス
署名なし 牙板に顔料
黒塗パピエマシェ額 額裏にALPH: GIROUX...のラベル 
イメージサイズ:3.8 x 3.2cm 額:9.3 x 8.5cm
 
18世紀末から19世紀初めヨーロッパの芸術分野では理性、秩序、調和を重んじる古典主義や合理主義に対抗して、精神的な内面や、自然や神秘的なものを表現するロマン主義が台頭し、個人の感性や情緒を大切にするセンチメンタリズムがひとつの思潮となった。時代性を反映したフランスのモーニング・ミニアチュール(故人を偲ぶ細密画)2点である。
 
黒い背景に白い天使をグリザイユで描いたミニアチュール(細密画)は、故人の肖像画や遺髪は付随せず、天使が花を捧げる墓石に1832年5月12日と日付けのみが記されている。女性好みのリボン装飾のメタル・フレームに入った細密画の天使は、遺された者の心をわずかでも慰めたであろう。
 
1799年パリで創業し高級家具と小物の製造販売で王侯貴族や新興ブルジョワを虜にした有名メゾン、アルフォンス・ジルーは、店を閉じる1885年までの間、常に顧客が望む最高の贅沢品を提供していた。空の雲間から顔をのぞかせる利発そうな少年が、天の御使いのように見える肖像細密画である。裕福な遺族が愛する我が子の姿を永遠に残して死を悼むためにメゾンで誂えた作品である。
 
*2点は別売りです