Works of Art〜美術工芸品図録34
Charles Glachant "Japonisme" Parcel-Gilt Silver Small Cup
Charles Glachant「ジャポニスム」部分鍍金銀製小杯
c1880 France
1880年頃 フランス
刻印:猪の頭(純度800)、C G(工房印)
9.7 x 9.7cm
金銀細工師Charles Glachant(シャルル・グラシャン 1867-91活動)は、19世紀フランス宝飾界において歴史主義の作風で名を馳せたフロマン=ムーリスの工房で修業の後、自らの工房を立ち上げた。その手腕はブシュロンに評価され、メゾンのアトリエチーフのPaul Legrand(ポール・ルグラン 1840-1910)が考案するデザインを造形する職人としてブシュロン作品、主に工芸品を手掛けた。
Charles Glachantの10cm足らずの小さな銀製の杯または脚付き皿は、野の草花と雲の中で東洋の二人の子どもが行灯に顔を寄せる図をアシッドエッチング(酸化腐食彫り)によって浮世絵の線画のように平面的に表現している。銀細工でありながら木版画を想起させる仕上げはジャポニスム(日本趣味)を得意とするCharles Glachantらしい作りである。皿の裏や低い脚に施した鍍金(一部象嵌)も優れた手技が発揮され、ブシュロンの銘こそ無いがクオリティの高い作品である。皿の縁に数カ所のアタリあり。