Black Forest
アンティークブラックフォレスト図録
c1900 Pralognen La Vanoise France
1900年頃 プラローニャン フランス
高さ:8.2cm シナノキ ガラス
着色が薄れているが斑を描いた木彫の猫頭部。蓋を開けると中にガラスのインク壺が仕込まれている。猫目のガラス義眼を嵌めた好奇心旺盛な猫の表情が好ましい。首のリボンに記されたPralognen La Vanoiseはスイスやイタリアに程近いフランス南東の山岳地方プラローニャンの土産品であったことを表す。リボン先端に小さな欠けあり。
Black Forest Carved Wood Dog Head Inkwell
ブラックフォレスト木彫ボクサー犬頭部インク入れ
c1900 Switzerland
1900年頃 スイス
高さ:7.2cm シナノキ ガラス
ドイツを中心にマスティフ系の猟犬を改良して19世紀後期に誕生した犬種ボクサー犬は、1900年までに狩猟のみならずドイツ軍や警察においても活用され、この頃の工芸品の意匠に登場するようになった。
犬頭部(蓋)を開けると中にガラスのインク壺が仕込まれている。細かな毛並み、鼻や口元と精巧な木彫に、ガラス義眼を嵌めた犬の知的な表情が好ましい。首のリボン先端に修復あり。
Black Forest Carved Wood Cat in Boot Grand Inkwell
Black Forest Carved Wood Pug in Boot Inkwell
ブラックフォレスト木彫 ブーツの中の猫特大インク入れ/ブーツの中のパグ犬インク入れ
c1900 Switzerland
1900年頃 スイス
(猫)長さ:19.5cm 高さ:19.3cm
(パグ)長さ:12.5cm 高さ:10.0cm
シナノキ ガラス
山に囲まれた地域で作られるブラックフォレスト作品において、山仕事用のブーツから頭を出す小動物は親しみのある主題として多く製作された。頭の蓋を開けると中にガラスのインク壺が仕込まれた、猫とパグ犬のインク入れである。
片手に乗るパグ犬のインク入れは一般的なサイズであるが、猫目のガラス義眼を嵌めた猫のインク入れは珍しい特大サイズで、靴のつま先が小さな文具や切手を収納できるようになっている。
両作品とも頭(=蓋)は明るく、ブーツ(=本体)は暗めの色調で仕上げている。解かれた靴紐や履き古して傷んだ踵やシワのみならず靴底の滑り止めの鋲までも木で彫り出したブーツは圧巻である。
Black Forest Carved Wood Bear Head Nutcracker
ブラックフォレスト木彫熊頭部クルミ割り
c1900 Switzerland
1900年頃 スイス
長さ:18.5cm シナノキ ガラス
日本人には馴染み深い北海道の民芸品木彫り熊の発祥は、徳川義親がスイスのベルンから持ち帰ったブラックフォレストの小さな木彫りの熊であった(八雲町木彫り熊資料館所蔵)。ブラックフォレストを代表する熊の作品は、長きに渡り大量生産され、彫りの質も多様であった。
Black Forest Carved Wood Hare Head Nutcracker
ブラックフォレスト木彫野ウサギ頭部クルミ割り
c1900 St. Claude France
1900年頃 サン=クロード フランス
長さ:21.0cm ST CLAUDEの刻印
シナノキ ガラス
フランスとスイスの国境ジュラ山脈の峰に囲まれたサン=クロードは森林の木材を使った工芸が盛んで、現在は良質な喫煙パイプ生産で愛好家に有名な地域である。
19世紀後期 スイス
長さ:15.7cm シナノキ
Late 19thC Probably Austria
過去の作品
Black Forest Carved Wood Dog Pen Tray and Inkwell
ブラックフォレスト木彫犬ペントレイ付きインク入れ
Late 19thC Switzerland
イギリスで14世紀からウサギ狩りに重宝されたビーグル犬は、猟犬として貴族に大変人気があり、ヴィクトリア時代の工芸品の意匠にしばしば使われた。
丸太に両前足を載せたビーグル犬頭部(蓋)を開けると中に陶器のインク壺が仕込まれている。細かな毛並み、鼻や口元、首輪と精巧な木彫に、目力のあるガラス義眼を嵌めた犬の知的な表情が好ましい。片手に乗る一般サイズのインク入れはと違い、ペントレイの付いた存在感のある作品である。点々と青いインクの染みあり、元所有者が相当気に入って使ったと思われる。
Carved Dog in Shoe Treen 3-Piece Writing Set
木彫靴の中のパグ文房具3点セット
Black Forest Carved Wood Clothed Bear Pipe Holder
ブラックフォレスト木彫着衣の熊パイプホルダー
Late 19thC Switzerland
19世紀後期 スイス
高さ:28.5cm シナノキ 布 革
赤糸でトリミングされた白い木綿シャツに生成りの麻ベスト、黒フェルトのチロリアン帽を身に着けた、擬人化した木彫の熊である。熊の背負い籠にパイプを入れるパイプホルダーとなる。ブラックフォレスト木彫作品で、布の服を着たものは非常に珍しい。熊の右腕は関節で動くが用途は不明。熊の上に向けた目や口を開けた表情がユーモラスに表現されている。
*SOLD*
Black Forest Carved Wood Cat & Hat Inkwell
ブラックフォレスト木彫帽子と猫インク入れ
c1900 Lucern Switzerland
1900年頃 ルツェルン スイス
高さ:11.8cm シナノキ ガラス
穴の開いたパナマ帽の天辺から手と顔を出す猫のインク入れ。19世紀半ばゴールドラッシュに湧くカリフォルニアを目指した人々がパナマから持ち帰り、ヨーロッパで広まったパナマ帽は、パナマ草を編んでつくるために繊維が傷つきやすく、やんちゃ猫の餌食になることが多かったのであろう。土台部分に刻まれたLUZERNは、当時ルツェルンの土産品であったことを表す。帽子のつば部分に修復箇所あり。内部のガラス壺が欠損している。
*SOLD*
Black Forest Carved Wood Cat Holding Quill in Mouth Inkwell
ブラックフォレスト木彫羽根ペンをくわえる猫インク入れ
c1900 Geneva Switzerland
1900年頃 ジュネーヴ スイス
高さ:11.8cm ペン長さ:26.6cm シナノキ ガラス
木の洞(うろ)から頭を出した猫の蓋を開けると中にガラスのインク壺が仕込まれている。縦に長い瞳孔をもつ猫目のガラス義眼を嵌めた木彫による猫の知的な表情が好ましい。金属製のペン先とペン軸を組み合わせたつけペンは、昔ながらの羽根ペンを木彫りで再現するという、職人の発想が面白い。猫の口からオリジナルのペンが失われていないのは貴重である。猫の鼻や樹皮部分、羽根ペンの模様は彩色が施されている。中央に刻まれたGENEVEは、当時ジュネーヴの土産品であったことを表す。
*SOLD*
Black Forest Carved Wood Dog Nutcracker
French Carved Wood Watch Case
ブラックフォレスト木彫犬クルミ割り
フランス木彫犬懐中時計入れ
Late 19thC Switzerland /France
19世紀後期 スイス/フランス
(クルミ割り)長さ:20.5cm
(時計入れ)8.3 x 5.5 x 3.0cm CHAMONIX+DEPOSEの彫刻
シナノキ ガラス
胡桃割りは、犬の頭底部にある穴に木の実を入れ、螺子状の握りを回す仕組みである。動物の口で割るタイプに比べて手のかかる仕様のため数が少ない。懐中時計入れは、犬の顔の蓋を開けると直径3.5cmの時計用の凹みがあり、突出した時計の竜頭部分は箱の外に逃がせるようになっている。両作品とも丁寧に彫られた毛並みとガラス義眼が、生き生きした犬の表情を作っている。
*SOLD*
Black Forest Caved Wood Hat Racks of Fox & Hare as Hunters
ブラックフォレスト木彫猟師に扮した狐とウサギ帽子掛け
Late 19thC Switzerland
19世紀後期 スイス
(狐)29.8cm (ウサギ)28.0cm
シナノキ シャモアの角 ガラス
本来狩られる側の狐とウサギが猟師の姿に扮した帽子掛けである。シャモアの角でブーツを表現している。狐はガラス義眼、ウサギは彫眼のため、元来一対の作品であったかは不明。双方ともに銃口部分に修復有り。
*SOLD*
Carved Wood Devil with Red Glass Eyes Page Turner
赤目の悪魔木彫ページターナー
Late 19thC Probably Germany
19世紀後期 おそらくドイツ
長さ:43.8cm パイン? ガラス
ペーパーナイフは元来愛書家が、小口を裁断してないフランス綴じと呼ぶ装幀の書物を一頁ずつ切り開いて読むための道具であり、ページターナーは挿画本など大判の書物の頁を傷つけずにめくるための道具である。後者は大抵ペーパーナイフも兼ねている
キリスト教文化が中心の19世紀以前のヨーロッパにおいては、宗教画以外に悪魔の姿をした一般向けの実用道具はさすがに数が少ない。しかし19世紀初めゲーテが『ファウスト』で成功をおさめたことにより、ドイツやオーストリア周辺で魅力的な悪魔メフィストフェレスを扱った作品がつくられるようになる。
*SOLD*