Coupe Papier
アンティークペーパーナイフ図録
1960年頃 フランス
刻印:RAVINET D'ENFERT、RD(工房印)
L 26.5cm
力強さを象徴する意匠のひとつ獅子の足は古来より王族などの権力者によって石棺や家具の脚に好んで用いられ現代でも見ることが多い。黒檀風に仕上げた木製パーツが銀めっきブロンズの獅子の足を引き立てるラヴィネ・ダンフェールの質の高いレターオープナーは、一定の重さがありペーパーウェイトを兼ねている。
19世紀半ばまで遡る歴史を持つパリの銀工房ラヴィネ・ダンフェールは、カトラリーを中心とした銀食器に定評があり数々の万国博覧会で賞を獲得した。1930年代から70年代までエルメスの銀や銀メッキ製の文房具や喫煙小物の制作に携わるが、1984年に活動を停止、Ercuis(エルキューイ)に吸収される。
c1900 France or England
1900年頃 フランスまたはイギリス
サインなし L 27.0cm
ページターナーを兼ねた木製ペーパーナイフ。湖のほとり、赤い中世風衣装を纏い竪琴を奏でる女と天高く伸びるひなげしの花(虞美人草)、両面の絵柄が違う詩的な趣のエナメル細密画板を嵌め込んだ珍しいハンドルである。エナメル板の上下を銀メッキの植物文レリーフで装飾した手の込んだ工芸品となる。フランスアールヌーヴォー期のリモージュエナメル作品、またはその影響を受けErnestine MillsやAlexander Fisherなどの優れたエナメル作家を輩出した英国アーツアンドクラフツ運動作品と思われる。
フランスでは5月1日にスズランを贈られた人に幸運が訪れると伝わる。また釣鐘型の可憐な小花は妖精が朝露を飲むカップと云われ、女性好みのスズランの意匠は大切な人への贈り物としてつとに人気が高い。
Art Nouveau Carved Horn Pine Needles Inset with Bronze Cones Relief Paper Knife /Page Turner
アールヌーヴォー獣角彫刻松葉と松毬(ブロンズレリーフ)ペーパーナイフ
c1905 France
1905年頃 フランス サインなし L 35.0cm
松毬はアールヌーヴォー期の作家に好まれた意匠であり、ガレやラリックのガラス作品にも多く用いられた。飴色の水牛の角に松葉の彫刻を施し、握り部分に松毬のブロンズ製レリーフパネルを嵌め込んでいる。
1905年頃 フランス
サイン:ARnould L 27.0cm
アールヌーヴォー期、銀杏や蔦の葉の意匠のジュエリーで大変有名な作家Aimé Arnould作品。ネズミの毛並みや尻尾の表現の芸術性と、表と裏のある成型が秀逸。
20世紀初頭 フランス
刻印:猪の頭(純度800)、判読困難な工房印 L 23.4cm
岩場に腰掛け海から昇る太陽を眺める少年、沖を飛ぶカモメの群れや波頭を浮き彫りした銀製ハンドル。大きくはないハンドル部分から、カモメの鳴き声や波の砕ける音が聞こえそうな臨場感のある作品である。
1905年頃 フランス サインなし L 34.0cm
蟬はアールヌーヴォー期の作家に好まれた意匠であり、ガレやラリックのガラス作品にも多く用いられた。飴色の水牛の角に巨大な蟬を彫刻しパチネ(古色仕上げ)を施している。虫喰い、カケあり。
19世紀後期 清朝後期 中国
サインなし L 18.8cm 12.2cm
清朝後期、広東から欧米への輸出向けに制作された牙彫刻のレターオープナーとブックマーク(栞)のセット。薄手の獣牙にもかかわらず男の辮髪や女の耳飾り、後ろ姿の衣裳まで細かく彫刻している。媚びのない男女の表情が上品で好ましい。
1900年頃 ドイツ
刻印:56
L 17.5cm(収納時) (大)14.5cm(小)12.7cm
ルネサンス風装飾を打ち出した真鍮製鞘に収納されたサイズ違いの鋏一対。鋏の刃はスチールで実用できる良好な状態。グロテスクな仮面装飾の真鍮ハンドルがユニークである。奇怪な仮面飾りマスカロンは、元来魔除けを目的とした建築装飾の一種であるが、文房具の意匠に用いることでひと味違う個性と歴史的な重厚感と格調を感じさせる。
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