Miscellaneous〜その他の作品図録19
HERMÈS /Paul Dupré-Lafon Leather Box
エルメス/ポール・デュプレ=ラフォン 革製ボックス
1950s France
1950年代 フランス
刻印:HERMÈS.PARIS
11.7 x 22.5 x 3.6cm
フランス人建築家ポール・デュプレ=ラフォン(Paul Dupré-Lafon 1900-1971)は、1929年からエルメスと組んで家具やランプ、書斎小物などのデザインを手掛けるようになる。品質の高い素材を組み合わせたモダンで洗練された彼の作品は、メゾン・エルメスの裕福な顧客に人気であった。名声を嫌ったデュプレ=ラフォンは、生涯を通して個展を開いたり自前のブランドを持つことをしなかったため、彼の建築以外の作品は当時一部の富裕層のみが知る貴重なものであった。
革を積み重ねて作る積み革に、手縫いで白のステッチを施したルージュアッシュ(Rouge H)のボックスカーフ、ニッケルメッキと革のルージュを交互に編成した蝶番の卓上用の平らなボックスは、アクセサリー(小物)またはシガレット入れである。内側はマホガニー、蓋裏は鏡面のようなニッケルメッキで中央にHERMÈS PAERISの刻印がある。
余分な装飾を排除し構築されたデュプレ=ラフォンのデザインをエルメスの最高品質の材料と職人技で具現化した作品は、現在ヴィンテージ・エルメスの分野において別格の存在として君臨する。