Miscellaneous〜その他の作品図録21
Fruitwood Tea Caddy Spoon
果実材彫刻ティーキャディースプーン
c1820 Probably Germany
1820年頃 おそらくドイツ
長さ:8.0cm
18世紀後半に英国で誕生した茶葉をポットに入れるためのキャディースプーンは、貿易船から荷揚げした茶箱から茶葉をすくう際に帆立貝の殻を使ったことからシェル型が定番となっている。かつては上流階級の者のみ口にできた高価な茶葉は、ティーキャディと呼ぶ鍵付きの箱からキャディースプーンを使って恭しくポットへと投入された。
今日蒐集家の多いアンティークのキャディースプーンは高級な銀製が主流である。有名銀工房作品にも引けを取らない精緻な木彫のティーキャディースプーンは大変珍しく希少性が高い。上質な果実材(ペアウッド?)のつやのある質感と手彫りによる帆立貝を模した適度な厚みの皿部分の際立つ波打ちエッジが好ましい。日本の柘植根付にも通じる銘木の細工ものは掌中でいつまでも愛でていたくなる。