CabinetⅤ 【第Ⅴ室】〜Miscellaneous その他
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Miscellaneous〜その他の作品図録29

Carved Tusk Parakeet Perched on 8mm Mauser
8mmモーゼル弾に止まる牙彫インコ


1916 Probably France
1916年 おそらくフランス
長さ:10cm 高さ:6.5cm
獣牙 ガラス 木 セルロイド 真鍮 鉄 ブロンズ
 
弾丸の上に止まる青いガラス義眼を嵌めた牙彫インコのオブジェである。重いスチール製の葉型の台座からのびるマーブル模様のセルロイドの円柱に固定された弾丸は軍用実包ドイツ製8mmモーゼルS弾である。真鍮と鉄でできた薬莢の刻印は銅含有率67%の真鍮、1915年10月製造ほかメーカーを示す。
 
台座の葉に記された"1916"は第一次世界大戦中(1914-18)ドイツ帝国軍とフランス(連合国)軍が交戦し両軍ともに多数の死者を出したヴェルダンとソンムの戦いの年であることから、戦いに関連した記念の作品と思われる。第一次大戦中フランスは敵機の襲来に備え聴覚の優れたオウム(インコ)をパリのエッフェル塔上部に飼ったと云われ、フランスを象徴するインコがドイツ製の弾丸に乗ることで優位を示す構図となっている。量産品ではなくドラマを秘めたユニークな注文品と言えよう。