CabinetⅤ 【第Ⅴ室】〜Miscellaneous その他
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Miscellaneous〜その他の作品図録30

Georgian Steel Snuff Spoon with Case
ジョージアンスチール製ケース付きスナッフスプーン


Mid 18thC Probably England 
18世紀中期 おそらくイギリス
長さ:(スプーン)8.7cm (ケース)10.2cm
 
芥子の実から抽出した液汁を乾燥させ固形にしたアヘンは紀元前から地中海周辺で麻薬として用いられ、以降多くの地域で粉末加工して娯楽用や医療用とされてきた。粉末物質を鼻から吸引するための小さな匙スナッフスプーンは古代から麻薬に使用された。嗅ぎタバコが王侯貴族の間で流行の頂点を迎えた18世紀ヨーロッパでは、高価な麻薬や煙草は茶道と同様に道具を揃え作法に則って吸引することが上流階級の嗜みであった。ボウルに穴の空いたスナッフスプーンは、貴重な粉を掬い過ぎないため、ふるい落とす粉末をきめ細かな微粒にするため、粉末を通気し乾燥状態を保つために作られた。
 
スチール製のケース付きスナッフスプーンである。穴あきスプーンの多くは木材や動物の骨や角であり、硬さがあり彫刻などの繊細な細工が困難な上に錆が生じるスチール製は珍しい。18世紀、蒸気機関と並んで産業革命の原動力となった鉄鋼(スチール)で成功を収めた者があえて誂えさせたと考えられる。トランプカードのクラブ、ダイヤ、ハートの形に切り抜いたハンドル、ショベルとスペードが同義語であることからボウルをスペードに見立てている。ロココ様式の装飾を手彫りしたケースは、底に通気孔がある。ユニークな珍品となる。