Paintings〜絵画図録32
Italian School Miniature Painting "Virgin and Child"
イタリア派ミニアチュール(細密画)「聖母子」
c1700 Italy
1700年頃 イタリア
署名なし 羊皮紙にグアッシュ
オリジナル金彩木彫額
イメージサイズ:10.9 x 8.3cm 額:19.5 x 12.6cm
幼子を抱く聖母を羊皮紙にグアッシュ(不透明な水彩顔料)で描いたミニアチュール。黒い無地の背景に浮かび上がる聖母子に聖人を示す頭光は無い。我が子を隠すように背を向け、慈愛に満ちた優しい面持ちではなく懐疑的な表情でこちらを窺う聖母マリア。一見異様な姿に映るが、「エジプトへの逃避(The Flight into Egypt)」を表すと推察される。
新たなユダヤの王となる子(救世主)の降誕を知ったヘロデ王は自分を脅かすこの子を亡きものとするために、2歳以下のベツレヘムの男児全員を殺害する。幼児虐殺のお告げを受けた父ヨセフが聖母マリアと幼子イエスを連れエジプトへ旅をして殺害を免れる「エジプトへの逃避」マタイ福音書2章13-14節は、キリスト教美術の主題のひとつである。花を彫刻し金彩を施した楕円の額縁ともにバロック的な雰囲気を感じさせる小品である。