Works of Art〜美術工芸品図録36
2 French Engraved Glass Marriage Tumblers
フランス婚礼グラヴュールグラスタンブラー2点
c1820 France
1820年頃 フランス
(右)高さ:8.8cm 直径:6.9cm オリジナル革ケース
(左)高さ:8.0cm 直径:6.8cm
18世紀後期ヨーロッパの飲み物用グラスは回転盤(グラインダー)を使うカットとグラヴュールで装飾されたものが主流であった。蒸気によって回転盤に電力が供給されガラス生産の効率が良くなる19世紀初頭には、産業革命で富を得たブルジョワ市民の食卓向けにダース単位で販売されるグラスが量産された。
一方量産品とは別に、婚礼や出産の祝いや記念に昔ながらの精巧なグラヴュールと個人の頭文字を刻んだ特注品のビーカー型タンブラーがイギリスやフランスなどで作られた。18世紀末から19世紀初めヨーロッパで台頭したロマン主義、個人の感性や情緒を大切にするセンチメンタリズムがひとつの思潮となったフランス復古王政期の婚礼を祝う2点のタンブラーである。気に入りの飲料を入れガラスに施された彫りの陰影と反射を楽しみたい。
二組のつがいの鳩が咥えるガーランド(花綱)の下、二つの燃えるハートと誠実を象徴する犬と花々が溢れるコルヌコピア(豊穣の角)をグラヴュールで表した婚礼を記念するタンブラーは、夫婦の頭文字MLが刻まれている。同じく婚姻を象徴する意匠を型押しした皮革ケース付き。
たくさんの花の中で愛の使者クピドが弓矢でハートを射る姿、愛の獲得=婚姻を意味するモチーフを細かくグラヴュールしたタンブラーは、夫婦の頭文字DSが刻まれている。
*2点は別売りです