香水瓶と気付け薬入れ

Annexe 2【分室2】〜香水瓶②

Le Flaconnage 医薬と芳香 香りのフラコン

アンティQ【anti-Q】 アンティークの香水瓶と気付け薬入れ

 ヨーロッパでは中世以降、動植物から抽出した天然香料は大変高価で貴重な贅沢品で、疾病に対する予防や解毒、不衛生による臭い隠しのための医薬品と考えられました。医学薬学や化学と錬金術や黒魔術の境界が曖昧であった時代、特権階級の者は媚薬と毒薬を自在に操る御用調剤師を陰謀に重用し一方で香りに癒しを求めました。18世紀ロココ文化の隆盛とともに香水の流行が高まり、王侯貴族はお抱えの調香師や薬局が調合した簡素な薬瓶入りの香水や気付け薬を自分好みの小壜(フラコン)に移し替えて愛好し、多くの職人が様々な素材による趣向を凝らした容器の制作に丹精込めました。
 
 アンティQでは18世紀後期から20世紀初頭のアンティークのフラコンを取り扱っています。英語では Sent Bottle(セントボトル)「嗅ぎ壜」と呼ぶ香水瓶は20世紀初めまで、化粧品としての香水(パルファム)だけではなく、強い香りの液体や結晶状のセル(塩)を入れ、めまいや失神を防ぐ気付け薬入れとして用いられました。掲載作品についての価格や状態、掲載されていない在庫作品につきましては 【CONTACT お問い合わせ】よりお問い合わせください。
 
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Le Flaconnage

アンティーク香水瓶と気付け薬入れ図録

Dressing Table Bottle

化粧台用香水瓶

18〜19世紀を通して貴婦人の化粧台は様々な化粧品の入った容器で覆い尽くされていた。多くは透明なクリスタルガラスであったが、貴重な香水は高級な色ガラスや磁器製の香水瓶に入れられた。それらは太陽光による香水の変質を防ぐとともに、工芸品としても装飾性の高いものであった。 

 

Sent Bottle /Flacon à Sel

嗅ぎ壜とフラコン・ア・セル

気付け薬として調合された強い香りの香水は、コルセットで体を締め上げることで呼吸困難に陥り頻繁に失神する貴婦人の必需品であった。フローラル成分を弱めフェノール、ユーカリオイルまたはメンソール成分を強化した結晶(セル)状の炭酸アンモニウムを入れる瓶をフラコン・ア・セルと呼ぶ。

 

Vinaigrette /Pendant Bottle

ヴィネグレットとペンダント式香水瓶

ヴィネグレットは、香りを発する植物を用いたヴィネグル(酢)を含ませた小さな海綿を入れる小箱で、18世紀より貴婦人が身に着けた。酢は古くから洗浄や治療に使用され気付け薬の効果もあった。ペンダント式フラコンもまた贅沢な装身具として着用された。

 

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嗅覚への愉悦をもたらす芸術品と謳われる香水。貴婦人のために作家や職人が創造する香りにまつわる作品は、実用の道具としてではなく贅沢で官能的なオブジェとして愛された。