Le Cachetage
アンティークシール(印章)図録
Desk Seal
デスクシール
貴族の書斎の必需品デスクシールは、比較的公的な書簡や文書の承認印などに使用された。デスクシールの印面を底にして机上に立て置く時、凝った握り手(ハンドル)の醸し出す存在感はさながら小さな彫像で、今日に至るまで多くの蒐集家を魅了する。
Hand Seal
ハンドシール
家族や恋人、親友宛ての私的な書簡向けのセンチメンタルな図像と言葉を刻んだシールや、旅行用と思われる小振りなシールなど、手中におさまる印章。19世紀の書簡の作法では、封蝋の色は男性は赤、女性は何色でも許された(喪は共に黒)。
Fob Seal
フォブシール
懐中時計を納めるためのズボンやベストの小さなポケットをフォブと呼び、時計を巻く鍵と共にウォッチチェーンに下げるフォブシールは、着用する者の格式や洗練の誇示に一役買った。現代ではネックレス用チェーンや革紐を通してペンダントチャームとして女性も楽しめるアイテムである。
Signet Ring /Seal Jewellery
シグネットリングなどシールジュエリー
貴石や貴金属にインタリオを施したシールを嵌めた指輪をシグネットリングと呼ぶ。18〜19世紀末まで繰り返された古典主義の流行から、封蝋と関係なく装身具として見栄えの良いシールジュエリーが男女ともに好まれ多く着用された。
Writing Set
文房具セット
中世以降長きにわたり筆記具の主役であった羽根ペンに代わり、漸く金属製ペン先が開発され普及した19世紀、凝った細工のペン軸がレターオープナーやシールと揃いで作られた。シルクのサテンやヴェルヴェットを内張りしたオリジナルボックスも見所である。